沢木耕太郎著の『危機の宰相』を読んだ。
JCのアジア・太平洋会議でマレーシアのペナンに行ったときに、当時の副委員長の「沢木耕太郎の『深夜特急』の世界ですね」との発言から、読んでいなかった私は『深夜特急』をむさぼり読んだ。マカオでカジノに通う著者の観察力、筆致力に魅了され、氏の著書を読むようになった。
『危機の宰相』の中身は「所得倍増」をめぐる池田勇人、下村治、田村敏雄という三人の物語である。広島県出身の池田首相、所得倍増という言葉にはおぼろげな大体こういうものという感覚はあるが、その背景にはいろいろなドラマがあったことをはじめて知った。よくもこれだけ調べて書き上げたものだと改めて今回も感心した。
今、まさしく世界的に危機的な状況のような気がするが、これに真っ向から挑んでいる人たちはいるのだろうか?表面に出てくるのは評論家みたいな政治家、ジャーナリストばかりであり、どうもトンネルの先が見えない。目立つ一人ではなく、真面目に政策を検討している政治家、官僚もいると思うけど。
文中にある「民衆が疑惑して、人心不安な時の田文」たる人物とは今の世であれば誰になるのだろうか?それともいないのか。
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