今年のお盆は、私にとっては初盆でした。浄土真宗では、盆の捉え方が多くの方が思われていることとは違い、亡き人の霊がかえってくる等の考えはありません。いつも仏さまとご一緒です。報恩の思いからお盆の行事をさせて頂きます。前住職は、はっきりと初盆追悼法要の案内の中で、「浄土真宗では昔から初盆参りはありません、お盆には寺へお参りになり、墓へお参りされるのが通例でしたが、最近、他宗の行事と混同され、初盆参りについて問い合わせされる方が、増えてまいりましたので、ご案内させていただきました」と注意書きをしておりました。
私自身も特に意識をすることはなかったのですが、改めて初盆を迎えるとお寺関係ではない諸先輩から線香をお供え頂いたりして、世間ではこういう風習があるのか、と知らないことがたくさんありました。教義的にどうのこうのということではなく、覚えてくださっていたことが有難かったし、うれしかったです。
また、多くの御門徒さまからも、「前住さんの初盆ですね」と声をかけてくださり、お供え頂きました。そんな中で、ある方からお手紙と御供を頂きました。その方の息子さんは小児がんで幼くして亡くなられました。誕生後、程なくして曾祖母(前住とは念仏奉仕団で何度か一緒に本山にお参りされている)がご往生され、前住が葬儀を勤め、以後の法事も前住だったので、その息子さんと会う機会が多く、孫のように可愛がっていたようで、何かと縁が深かったようです。
しかし、小児がんに冒され、病と向き合いながらも治療及ばず、7年前にご往生されました。もちろん、葬儀は前住(既に退職し隠居の身であった)が勤め、満中陰、一周忌、三回忌も前住が勤めました。昨年の七回忌には、前住は電話対応はできたものの、抗がん剤治療の真っ直中でしたので、私が勤めました。前住が来れない旨、お伝えしましたが、やはり埋められない何かがあります。それだけ、前住がご家族に寄り添っていたのだと思います。今回、前住の初盆にお手紙頂き、いろいろなことが頭を過ぎりました。前住も8歳の時に母を原爆で亡くし、以来附属中学校に入学するまで親戚の寺に預けられています。「原爆がなけりゃぁ、わしゃーお坊ちゃんじゃったんじゃがのう」と冗談交じりに話すことはあっても、多くは語りませんでした。
明日はその祖母の祥月命日です。
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