23日夜NHKにて放映されていたマイケル・サンデル 究極の選択 第3回「ビンラディン殺害に正義はあるか」という番組を観た。
アメリカ、日本、中国の学生たちが、テロと生死の問題について議論するのだが、なかなか興味深いものであり、踏み込んだ問いかけを行うものであった。
今から20年前、私がまだ会社員であったころ、社内の英会話教室に参加していた。そこでは、ある議題をテーマにグループでフリーディスカッションをするというスタイルがとられていた。そのときのテーマのひとつがテロリズムにどう対処するかというものだった。
ハーバード大卒の才媛講師のスタンスは、徹底的にテロを叩くという立場であったが、その時トーマス・ハリスの「ブラックサンデー」を読んでいた私は、つたない英語で、テロを叩くのも理解できるが、それでは更なる復讐(リベンジという語を引いたのもそのときが始めて)を生むだけではないのか。そもそも、なぜテロが生じるのか、あなた方の正義が正しくないからではないのか。一方的な正義を押し付けることによって抑圧される人が出るということを問い質さないといけないのではないか、みたいなことを反論した。英語がうまくしゃべれないので、しどろもどろであったが、講師が真っ赤になってまくしたてたところを見ると意は伝わったみたいだった。周りの人も私に賛同する人もいたので、議論は白熱した。
うがった見方かもしれないが、こういうことを議論するときに、自分は絶対テロリストにならないと傍観者の立場で高みから意見する人がアメリカ人には多いような気がする。でも、縁によってはテロリストにもなり、人を殺しかねない私たちである。正義を所有するととんでもない間違いを犯すこともある。そんなことにならないように対話することは大切であるし、自分は間違いを犯すかもしれないということを知って抑止することが大切であると思う。時には正当でない判断を下さなければならないときがくるかもしれない。
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